[2020年3月16日] 新型コロナウイルスについては今後の予測がかなり難しい状況です

新型コロナウイルスについては今後の予測がかなり難しい状況です。

当初の私の予測は、完全な市中感染期に入り、厳しい局面を迎えるものの、感染速度を抑え、医療崩壊を防止することで最終的には多くの人が免疫を有し、通常の風邪と同様に社会として内包していく「集団免疫」状態となるのではないか、と考えていました。これは私だけでなく、多くの関係者が想定していたことだと思います。

しかし、この間、千葉市でも疑わしい事例を何百とPCR検査していますが、(あくまで)現時点で先月の中学校の教員の方以来、陽性と確認できる方が出ていない状況です。
毎日、保健福祉局から疑わしい方の検体がPCR検査に回った報告を受け、陽性だった場合の対応などを議論してきているのですが、その度に陰性結果が出ています。

専門家会議も言及しているように、日本はかなり抑え込んでおり、感染経路もかなりの割合で特定できています。
一方、韓国、イタリア、アメリカを始め、日本に遅れる形で大流行となっている国が続々と出ています。

ダイヤモンドプリンセス号の件などで、世界は「公衆衛生に優れた日本がどうしてこんな不手際を」と報道しましたし、日本国民自身も日本は新型コロナウイルスにうまく対応できていないと思っていたわけですが、今や日本が最も抑え込んでいるような状況と言えます。
これは日本の医療関係者のご努力、医療設備の水準、国民皆保険、国民の公衆衛生意識、各行政の取り組みなど、様々な要因があろうかと思います。感染予防に関わってきた行政の一人として肯定的に評価したい現状です。

ただし、世界的に感染が広がっている中、長期的に見ると日本が難しい判断を迫られる局面が出てくる気がしています。

世界の状況を見ると、イタリアなど医療崩壊し、多数の死者が出る国がある一方で、イギリスやドイツはもしかしたら医療崩壊を食い止め、重篤者を極力出さないようにした上で、徐々に感染が広がって集団免疫を獲得するかもしれません。実際にドイツやイギリスのトップメッセージを聞くと、そのような考えが伝わってきます。これがベストということではなく、日本以上の感染拡大が予測される中で、そうせざるを得ないという判断と思われます。
新型コロナウイルスによる死者・重篤者数に大きな違いはあれど、いずれ世界各国が集団免疫を獲得していく流れは予測できます。

仮に日本がこのままの状況で持ちこたえても、世界との人の流れがある以上、集団免疫を獲得した海外の方によって集団免疫を獲得していない日本で再び感染が広がることも可能性としてあり得るわけです。
では、世界との人の流れを断つか、短期間ならともかく、長期間にわたって世界との人の流れを断つことは経済的にも社会的にも不可能でしょう。

ゴールデンウィークくらいまでは今の方針のまま行くのでしょうが、その先、暖かくなってきた時に新型コロナウイルスの活動がどうなっているか、世界の感染状況や集団免疫獲得状況はどうなっているか、それを見ながら長い目で見て日本がこのウイルスとどう向き合っていくのか、期間がかかるワクチンができるまで封じ込めに近い状態を本当に維持していくのか、悩ましい選択を迫られるかもしれません。

マスメディアはイタリアなど医療崩壊を起こしてしまった国の方がセンセーショナルなので、そちらを重点的に報道して、国民に不安を与え続けると思いますが、我々とすれば日本に近い高い公衆衛生レベルを持ち、新型コロナウイルスへの対策に比較的効果を上げている国々の状況を注視しながら、望ましきシナリオに持っていくことが必要です。

私たち千葉市としては長期的な視野に立ち、感染予防に留意しながら、社会活動を順次再開していく方針です。その際は国民感情の変化も十分に見極めていく必要があります。
既に17日から施設の一部再開を決めており、今後も慎重に感染予防と社会活動の両立を図っていきます。