[2020年3月28日] 千葉市で陽性患者1名判明、3月27日と比較的似たケース

本日(3月28日)、千葉市で新型コロナウイルスの感染者が1名出ました。
昨日(3月27日)の発表と似たケースで都内で勤務する40代の男性です。熱と咳はあるものの症状は落ち着いています。

発症前の行動歴は都内の職場と自宅の往復のみ、21日の発症日以降は自宅待機されていたとのことです。発症日以前・以降ともにマスクされています。
家族に発熱や咳等の症状は出ていません。健康観察と積極的疫学調査をしっかりと行い、必要に応じて検査していきます。

発症前2週間以内の海外渡航歴は無く、肺炎患者との明確な接触も現時点で確認されていません。
こちらも昨日(3月27日)のケースと同様に千葉市内というよりは都内勤務の中で感染した可能性が高いと言えます。ただし、断定はできません。

以前から私たちが注意喚起してきたとおり、東京都内で行動することのリスクが高まっていると言えます。できる限り都内での行動を控えることが重要な局面であり、東京都からも企業に対して在宅勤務等も含めて従業員への配慮を呼び掛けているところです。

続けての発生になるため、市内にたくさん感染者がいるような感覚になってしまうかもしれませんが、私たちはこれまでも医師が疑わしいと判断した方々を日々PCR検査しており、その殆どは陰性です。
詳しくデータを示すと、ここ1週間だけでも69件の検査、うち感染者が確認された3/27(金)は20件、3/28(土)は17件の検査を行い、それぞれ1件が陽性という結果です。陽性率としてはこの1週間で3%弱となります。

私たちは今後も気を緩めず感染動向を見極め、市内での感染拡大リスクが高まる兆候の段階で早めに警鐘を鳴らし、そして今よりも強い行動自粛を求める予定です。

また、今後感染者が増え、入院する病院が不足することも十分に想定されます。軽症・重症等の状況に応じて自宅待機や隔離できる宿泊先を県と連携しながら確保すること等を以前より検討しています。

なお、千葉県で初めて死亡例が出たことが発表されました。ご遺族の強い意向で性別・年齢・居住地等の詳細が明らかにされていません。ただし、基礎疾患があった点は説明されており、重篤化しやすい属性だったということが伺えます。
ご遺族の意向、個人情報保護は尊重されるべきですが、一方で県民の不安に応えるために、こうした大まかな属性情報等が公表されることは重要です。可能であれば「高齢者か否か」「帰国者か否か」などが分かるとなお良しです。
インフルエンザや肺炎で毎年多くの方が亡くなっていますので、冷静な受け止めが必要です。

それよりも心配なのは香取郡内(香取市と勘違いする人がいると思いますが、別の町です)の障害者入所施設の職員(調理員)の感染です。23日に発熱(38.9度)があり、医療機関を受診、23日は仕事を休んだものの24日に出勤して早退、その後は出勤無し。
福祉施設で仕事を休みにくい状況だったのかもしれませんが、発熱後に勤務することは絶対に避けなければいけません。やはり健康観察の徹底、それに基づき上長が適切に休ませることが感染を拡大させないために極めて重要です。

と書いていたら、先ほど当施設の職員・入所者で57人の感染が判明したとのこと。全て軽症以下とのこと。
この状況は調理員の方からの感染だけでなく、お互いがお互いに移しあう集団感染状況だったと思われます。健康観察がどの程度徹底されていたのかが気になります。
これだけ一度に感染者が出ると香取郡内の医療機関ではとても受け止めきれず、千葉市も含めて県内全体の医療機関で受け止めるしかないでしょう。医療機関の疲弊、感染症病床の空きが心配です。
(追記:全て軽症であることや障害者の支援が必要なため、施設に医師を派遣する形で対応するとのこと。現実的な対応だと思います)

東京都の感染者数も過去最多ですが、こちらも院内感染が確認されている医療機関が半数を占めています。数字に驚き、都市封鎖的な行動制限が近づいている、非常事態宣言をすべきと心配になる方もいらっしゃるかと思いますが、東京・千葉ともに都市全体で今以上に強い行動制約を行う段階に現時点で入っているわけではありません。
クラスター化した集団などを除いた、皆さんにとって関係・意味のある数字の推移を冷静に見ていくことが望ましいです。

ただし、それは一般の方の行動制約に関わる話です。新型コロナウイルス対策全体としては、このような院内感染や福祉施設内での感染こそ最も警戒すべきケースです。
高齢者・障害者・基礎疾患所有者など重篤化しやすい属性への感染こそが感染症対策で最も重要であり、行政・医療側が最大級の注意を払う必要があります。

私たちは当初より重篤化しやすい方々が入所・利用する福祉施設の対策が重要と判断しており、千葉市は文書等での注意喚起や指導だけではなく、現地に行って直接対策状況を確認するなど取り組んできました。今回の県の事例を受け、改めて市内福祉施設には注意喚起と対策の徹底・継続を求めていきます。