[2020年5月25日] 千葉市の感染者はゼロ(5月24日)。子育て世帯への市独自給付と子ども医療費の見直し

千葉市の感染者はゼロ

5月24日は33人の新型コロナウイルスの感染が疑われる患者の検査し、いずれも陰性でした。
ここ1週間の感染者は2,0,0,1,0,0,0という状況(感染経路不明は0,0,0,0,0,0,0)。千葉県全体でもゼロが続いています。

感染者数107名(患者数105名、無症状病原体保有者数2名、入院中17名、退院83名、死亡5名、療養終了2名) となっており、病床はステージ1(安心)で安定しています。

昨日は天気が比較的良かったこともあり、様々な場所で人の出が見られました。私たちも長い自粛生活の中で、人が出ているだけで「大丈夫だろうか」と不安になる気持ちになるようになりました。

大事なことは人が出ているかどうかではなく、

「換気の悪い密閉空間となっていないか」
「多くの人が密集した状態になっていないか」
「互いに手を伸ばしたら届く距離でマスク無しの会話や発声が行われていないか」

などが重要です。さらに言えば「(生産性が落ちない)テレワーク等は今後も継続されるか」という部分も企業には考えて欲しいと思います。また、接待を伴う飲食店への出入りについてはもうしばらく自粛することが求められます。

千葉市は今日(5月25日)から小中学校において週2回、3時間の分散登校が始まります。任意ではありますが、首都圏で他市に先駆けた形です。また、市立高校は毎日3時間の分散登校を開始します。
子供たちの学びを取り戻すためにも、私たち大人は継続可能な予防対策を、それぞれの状況に応じて責任をもってともに続けていきましょう。

子育て世帯への市独自給付と子ども医療費制度の見直し

小中学校の臨時休校等で影響を受けた子育て世帯の生活を支援するため、児童手当に市独自に上乗せ給付します。児童1人あたり1万円で、対象児童は約10万人です。
既に国が1万円上乗せ給付することとしており、市も同様に児童手当受給対象世帯に8月に国とともに上乗せ給付(児童1人あたり+2万円)します。国の上乗せ給付は公務員も対象ですが、市独自施策は公務員は対象外とします。

なお、この機会に子ども医療費の見直しについて紹介させて頂きます。
私が市長に就任した頃は医療費助成の対象は小学校入学前まででしたが、この間、通院・入院ともに助成対象を中学校3年生まで拡大してきました。現在、子ども医療費助成制度の予算総額は年間30億円以上となっています。

千葉市の子ども医療費助成制度は、診療分に自己負担がある一方で、調剤部分に自己負担が無いため、薬にかかる費用について子育て世帯の方々が考える機会が少なくなっている現実があります。
子ども医療費助成が無ければ自己負担は2~3割ですが、2~3割負担であったとしても7~8割は保険負担です。薬は公費、つまり税のかたまりであり、私たち一人ひとりが薬を大事に使うことが社会保障の最適化のためには大事です。

首都圏は東京23区を中心に自己負担がゼロの自治体が少なくありませんが、限られた財源の使い方として本当に自己負担ゼロが正しいのか、私は疑問です。
医療資源は限られており、最低限の自己負担を入れて、適正な医療の利用と、子どもの健康を両立させる取り組みが必要です。

そうした中、子ども医療費助成制度は多くの自治体で診療分のみ自己負担があり、調剤部分に自己負担が無い形でスタートしてしまいました。先ほど述べたとおり、薬に相当な公費が充てられていることを考えると、本来は調剤部分にも最低限の自己負担を設けるべきだったと思います。
他県・他政令市では調剤部分の自己負担が導入されている自治体もあり、千葉市も昨年、議会でご議論頂き、今年8月より自己負担を導入することとしました。

自己負担額は診療分と同様、小学校3年生までは300円、小学校4年~中学校3年生までは500円で、これを超える額は今後も千葉市が助成します。また、生活保護世帯や市民税非課税世帯は以前より自己負担は無料です。
千葉市ではこの見直しにより、巨額の費用を要する子ども医療費助成制度を今後も持続していくとともに、見直しで生まれた1億円以上の財源を全て対象世帯に還元される形で充当します。

具体的には以下の通りです。いずれも今年度から実施するものです。

・小学校において専門性の高い指導と担任の負担軽減を図るため専科教員を大幅増員
・妊娠・出産を支援するため各区に設置している母子健康包括支援センターの相談員の増員
・保護者・保育士の負担軽減のため、公立保育所の使用済み紙おむつの各園廃棄の実施
・困難な環境にある児童と保護者の支援のため、児童相談所の体制を強化
・出産後の支援を行うエンゼルヘルパーの対象者・利用期間・回数を拡充
・普通教室へのエアコン設置に伴う光熱水費

いずれも要望・優先順位の高い施策で、限られた予算の中で少しずつ充実させてきたものをこの機会に一気に拡充します。
特に専科教員の大幅増員は首都圏では例の無い取り組みであり、今後も限られた財源を効果的に配分していきます。

とはいえ、年間で子ども1人あたり約2,300円の増額となります。拡充前に子育てをしていた人からすれば「それでも自分の時より恵まれている」と思われるでしょうが、これが当たり前と思っている保護者には負担増と映ります。
財源がこのように組み替えられていることはなかなか一般の保護者には伝わりませんので、決して喜ばれる施策でない、むしろ不満が出る施策だと思います。しかし、税を預かる側として、それを市民にとって最も良い形で運用していくために、この見直しが適切と判断し、議会にもご理解を頂きました。

そうした中、制度見直しの議論の際には想定していなかった新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、子育て世帯の方々も様々な影響を受けている現状を重く受け止めました。
そこで、国からも1万円が特別給付されますが、市としても思い切って子ども1人あたり1万円の独自給付を行うことで手厚い生活支援を行うこととした次第です。
なお、この施策は6月議会に補正予算案として上程し、議会の可決を頂くことが前提です。

子育て世帯の皆さまにはご理解を頂きたいと思いますし、子育て世帯以外の皆さまにも市全体の中長期的な財政均衡のためにこのような見直しと独自給付を行う方針であることについてご理解頂ければ幸いです。

千葉市は高齢者向けの福祉施策についても77歳・88歳に現金を祝い金として支給する毎年億単位の費用がかかっていた事業を見直し、その予算を肺炎球菌ワクチンの接種費用の助成、認知症対策など、より高齢者を支える事業に振り替えてきました。
市民の貴重な税金を預かり、責任をもって運用する立場として、将来に意義ある形で施策を実施していきます。

今日(5月25日)は20:59からBS11「報道ライブインサイトOUT」にオンラインで出演します。テレビ出演は執務の関係でお断りする例も多いのですが、朝や夜は執務に支障が出ないので内容に応じてお受けしています。お声がけに感謝します。