市民の方よりいただいた手紙の一例

(2012 年 03 ⽉ 06 ⽇のブログより抜粋)

市⻑への⼿紙は要望・陳情・ご意⾒・批判・激励など様々な内容があります。
性格上どうしても要望・陳情・批判が多くなりがちですが、それらも含めて全て私⾃⾝が⽬を通し、内容に応じて各所管に対応を指⽰しています。(従来の市⻑は概要だけで実際に⾒ていませんでした)

その中で昨年(2011 年)、県外の⽅から「千葉港で引き揚げられた⾞両から発⾒された⾝元不明の遺体は⾃分の⽗親のものなので、荼毘(だび)にふすため遺⾻を引き渡してほしい」という⼿紙がありました。
当時の市の対応としては「警察で⾝元認識ができないので引き渡すことができない」というものでしたが、状況等からその⽅は「間違いなく⽗であり、なぜ引き渡してくれないのか。千葉市役所まで来ても⾨前払いなのか」と主張されており、悲痛な内容でした(引き揚げられた当時の鑑定では判別が難しかったそうです)。

私がこの⼿紙を読んだ⽇がまさにその⽅が再度市役所に来られる⽇であり、はるばる市役所に来てもらってまた⾨前払いというのはあまりに酷だと思い、急いで所管から状況を報告してもらい、警察も含めて何とか対応できないのか、と指⽰をしました。
所管も⼤急ぎで対応してくれ、警察も急な話にも関わらず親⾝に対応をして頂き、DNA 鑑定が可能かもう⼀度検討するとの対応に変わりました。

そして、最新の技術で DNA 鑑定をしたところ、先⽉に間違いなく⽗親であると判明し、先⽇遺⾻を引き渡すことができた次第です。
市⻑への⼿紙を送って頂いたことで、私たちも冷たい対応をせずに済むことができました。
もちろん、市⻑への⼿紙が無くとも対応することが⼀番なのですが、ひとまず良しとしたいと思います。関係者にも感謝をしたいと思います。


もちろん、市⺠の要望に全て応えられるわけではありません。時には⾏政としてやむを得ない対応であることを丁寧に説明することも少なくありません。
しかし、私が 1 年に数えきれないほど多くの市⻑への⼿紙を直接読むことで、

  • 所管に指⽰することで解決に⾄るケース、
  • 要望は直接かなえられなくても、「このような形であれば要望の趣旨にかなうのではないか」と、柔軟に検討するよう所管に話をして、解決したケース、
  • 要望をその時はかなえられなくても、後⽇別の案件に取り組む中で、私が「そういえば、あの要望もこの案件で解決できるのではないか」と発案し、時間を経て解決するケース、

など、全部署に権限を持ち、部署をまたいで調整可能なトップが要望や課題を把握することで、所管だけでは解決できない課題を解決する⽷⼝が⾒つかることが少なくありません。

⺠間では「クレームは宝の⼭である」と⾔われます。
私はリアルの対話会も数多く開催し、さらに数千通の市⻑への⼿紙、SNS での⽇々の意⾒など、全国どの市⻑よりも、多くの市⺠の要望や苦情、アイデアを頂き、私の頭の中に蓄えてきました。それが独創的なアイデアに繋がることも多く、拙著のタイトル『千の葉をつなぐ幹になれ』の⾔葉通り、⾸⻑という存在を通して英知が結集される、それこそが私の⽬指す理想像です。