[2020年5月1日] 3日連続感染者ゼロ、アビガン、特別定額給付金、報道の受け止め方について

3日連続、感染者発表はゼロ

4月30日の感染者の発表はありませんでした。これで千葉市は3日連続感染者はゼロです。千葉県全体でも5日連続1桁となっています。

また、感染がピークだった時期に入院された方々の退院が一気に14人増えて、入院中46名、退院43名となりました。今後も退院が続き、病床に若干ですが余裕が出てきます。まだ軽症者用ホテルに移った方はいません。

市内医療機関の病床確保が進んできたこと、感染者数の減少と退院者の増加により、千葉市では入院待機中の方がいない状況を維持できています。
今後も緊張感を緩めず、以前のピーク時よりも患者が増えた時にも対応できるよう、さらなる病床確保を準備していきます。

千葉県全体では東葛北部・南部医療圏で病床が不足し、自宅待機が多い状況でしたが、ここへきて病床確保が少しずつ進みつつあります。
まだ楽観できる状況ではありませんが、こちらも感染者数の減少と退院者の増加により、危機的状況を脱しつつあると医療関係者から状況を伺っています。

改めて言うことではありませんが、新型コロナウイルスは発症にタイムラグがあるため、この減少傾向は1~3週間前の私たちの行動変容の結果です。この行動変容を5月6日まで続けることができれば5月中旬まで減少傾向は続くことが期待されます。
一方で、GWにゆるみが出たり、5月7日以降に一気に人々が夜の街に繰り出したり、3密環境に突っ込むと、5月中旬から下旬にかけて増加に転じることもあり得ます。なので、宣言延長・解除に関わらず、5月7日以降も夜間外出自粛等は絶対に続ける必要があります。

アビガンについて

なお、たまに「アビガンは使用していないのか」というご質問を頂きます。
市立青葉病院を始め、各病院では医師が必要と判断した場合にアビガンを投与しています。現場では適切に判断がされているものとご理解下さい。

現在、藤田医科大学が臨床治験を進めていますので、この治験に注目です。
アビガンについては安倍首相が会見で述べ、多くの患者に効いたという研究を多くのメディアが報じるなど、期待値が高まっているところですが、観察研究の限界も指摘されており、冷静な見極めが必要です。これはレムデシビル等も同様です。
緊急事態であることを医療関係者も理解し、省略可能な手続きは省略し、医療上省略してはならない研究や手続きは省略せず、着実に前に進んでいると私は認識しています。

10万円の特別定額給付金について

一日も早い受付と給付に向けて、市役所内に特別チームを編成し、全力で準備を進めています。GW中には詳しいスケジュールを提示したいと考えていますので、申し訳ありませんが、今しばらくお待ちください。
おそらくマイナンバーカードをお持ちの方は5月中旬頃よりオンラインで申請可能、全世帯への郵送については5月中に何とか実現し、申請可能にしたいと考えています。

千葉市のような政令市になると世帯人口が多く、作業量が膨大となり、住民データのクレンジング作業、システム構築等に時間を要します。
予算措置や人員の配置といった市役所側の努力や工夫で何とかできる部分というよりは純粋にシステム側の制約によるものです。また、緊急事態宣言下で様々な制約がある中で、この業務に関わる民間企業も1日も早い申請開始と給付開始に向けて最大限の協力を頂いています。

この特別定額給付金について水戸市の高橋市長の投稿に大変感銘を受けたので紹介させて下さい。

水戸市民の皆様には特別定額給付金10万円の早期給付を期待している方々も多いと存じます。
一方で水戸市は住民基本台帳に約27万1千5百人が登録されており、約12万7千世帯が暮らしています。
今、特別定額給付金を出来るだけ早く給付してほしいという声も伺っており、自治体によってはスピード重視の施策も見受けられます。
新型コロナウイルス感染症の影響による市中経済や人々の暮らしを鑑みたとき、出来るだけ早期に給付してほしいという願いは十分理解いたしております。
しかし水戸市のように人口も世帯数も多いまちにおいては、様々な事情を抱えて暮らしている市民も少なくなく、事務作業が膨大で複雑となります。
給付総額も270億円を超える莫大な額となります。
市民の皆様が早く給付を受けたいと言う気持ちと、事務作業量との間に大きなギャップがあるのが、システム上の課題となっています。
私たちはこのギャップを解消することに全力をあげつつ、事務作業を間違うことなく、確実に進めていくために、様々なリスクを回避しながら慎重に進めていくことといたしました。
もちろん、のんびりダラダラ進めるという意味ではございません。
電子申請など早期に始められるものについては出来るだけ早い段階で「いつから」を皆様にお示しし、大多数の方が利用する申請書による申請手続きについても出来る限りの努力をし「5月◯日申請書発送」など、そのスケジュールもきちんと早期に明かにしていきたいと思います。
したがいましてどんなに煽られても、巷話題となりつつある「市町村対抗特別定額給付金スピード合戦」には参加しないことといたします。
他市町村がどんな手法を取ろうとも、水戸市が最善と決めた手法に自信と責任を持って、焦らず慌てず、迅速かつ適切、そして確実に事務作業を進めてまいります。
言い訳か開き直りになってしまいますが、小規模自治体と比較すると、どうしてもスピードでは劣る実情があり、市民の皆様には卒直にお詫び申し上げなければなりません。
水戸市は他市に比べて遅いじゃないかとお叱りを受けるかもしれませんが、甘んじてお受けさせていただきます。
確実に間違いなく市民の皆様全員に給付させていただくため全力で努力してまいりますので、皆様のご理解とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

私たち千葉市は水戸市より人口も世帯数も3倍以上あります。
何が言いたいかと言うと、私たちも申し訳なく思いながら、怒りの電話を受けながらも、1日も早く申請・給付できるよう全力で取り組んでいることを職員に代わって申し上げます。

なお、以前紹介したとおり、給付まで待てないほど生活資金にお困りの方は緊急小口資金の特例貸付をご利用下さい。かなり早いスケジュールで現金を届けることができます。
千葉市のホームページに「市民向け」「事業者向け」でそれぞれ支援策をまとめたページがありますので、そちらも是非チェック頂き、国・県・市等の制度を最大限に活用頂ければ幸いです。
政府に批判が多いですが、かなり支援メニューは用意されています。

安易な報道から距離を置き、正しい現状理解を

なお、報道機関の皆さんは社会の公器としての責務を十分理解して報道頂きたいと思います。
災害時はうまくいかなかったことばかりが報道されがちですが、うまくいったことと、うまくいかなかったこと双方を適切に報道しなければ、国民はどんどん自信を失います。
私は新型インフルエンザ時も市長だったため、新型インフルエンザを受けて日本の法制度が整備され、国も自治体も一定程度の備えをしてきたことが活きていることを理解しています。その備えは十分ではなかったことは事実ですが、新型インフルを受けての対策が無ければ事態はもっと深刻だったでしょう。

事実だけ見れば、日本は先進国の中で新型コロナウイルスによる死者・重症者数ともに非常に少ない国です。また、諸外国と比べて罰則も緩い緊急事態宣言に多くの人々が従い、完璧ではありませんが十分な結果を出しつつあります。

この緊急時に「罰則を!」「自粛要請ではなく禁止してしまえばいい!」など、強権発動を期待する声が高まっています。
私たちの国はあの太平洋戦争の苦い経験から、政治権力による強権発動には慎重を期したいとの国民の切なる願いを受けて様々な法制度を構築してきました。その歴史を忘れてはいけません。
ただし、本当に爆発的感染となった時はそうは言っていられません。そうした究極の状況時に発動する法制度については十分議論することは当然だと思います。
しかし、現状の感染状況、日本の国民性などを考えれば、この緊急事態宣言程度の制限行為が適切だったと言えます。

こうした不満の背景は報道機関が多くの国民が自粛を守っている国民性を報じず、一部の守らない人を一生懸命報道する姿勢も影響しています。成人式の報道に似ていますね。成人式は多くの新成人は問題ない行動をしていますが、マスコミが荒れている若者を探し出し、ネタとして消費しています。そして世の大人がそうした若者の振る舞いを見て、「若い連中はしょうがねえなあ」と批判し、優越感に浸るという毎年の風物詩です。

自粛を守っていない報道も同じです。世の多くの人が自粛を守っているために、自粛を守っていない人たちに対して、罪悪感を感じず、遠慮なく叩き、優越感に浸り、人々が共感を感じることができる、その深層心理をメディアは利用し、視聴率やアクセス数を稼ぐことのできるコンテンツとして利用しているのです。
心理学からも、自粛を守っていない人をいくら報じても自粛を守らない人は行動を止めません。むしろ「守っているのはバカらしい」「守っていない人がいるなら私も」という心理を誘発しますし、それよりも自粛を守っている人達を報道し、データとともに「みんな守っているよ」と報道することの方が結果が出ます。

残念ながら報道機関は緊急事態宣言でも殆ど自粛していません。テレビカメラをどこにでも持っていき、自由に取材しています。給料も減りませんし、むしろ自宅にいる人が増え、視聴率も上がっているでしょう。
それが悪いと言っているのではありません。立場と構造上、「この危機が長引いても問題ない」側に立ってしまうのです。

報道機関の姿勢が問われますし、何より受け手の私たちが問われていると言えます。