[2020年5月26日] 緊急事態宣言解除を受けて県の対応、市施設の再開について

緊急事態宣言解除を受けて県の対応、市施設の再開について

5月25日、緊急事態宣言が千葉県においても解除されました。
この間、様々な制約に耐えて感染拡大防止に取り組んで頂いた全ての皆さまに心から敬意を表します。また、緊急事態宣言下であっても社会を維持するためにご奮闘頂いた方々に心から感謝申し上げます。

5月25日も千葉市の感染者発表はありません。ここ1週間の感染者は0,0,1,0,0,0,0という状況(感染経路不明は0,0,0,0,0,0,0)。千葉県全体でもゼロが続いています。

退院が2名増え、感染者数107名(患者数105名、無症状病原体保有者数2名)、入院中15名、退院85名、死亡5名、療養終了2名となっており、病床はステージ1(安心)のままで、さらに「改善傾向」の表記が再び入りました。

緊急事態宣言を受けての市の公共施設の対応についてはこちら(https://www.city.chiba.jp/…/…/seisaku/covid-19/shisetsu.html)をご覧ください。
感染リスクに応じて、さらには県の基準に基づき、再開・一部利用を制限して再開・しばらく閉館の対応を整理しています。

千葉県は宣言の解除を受けて、B区分(大学、映画館、集会場など)への休業要請を本日付けで解除しました。レストラン等に対して求めていた酒類提供時間の制限も東京都と同様に「午後10時以降の自粛」という形で緩和。
C区分(動物園、体育館、パチンコ店等)は6月1日の解除とし、当初D区分としていたスポーツジムとカラオケ店も6月1日解除としました。ライブハウス・バーなどの休業要請解除時期は未定とのこと。
ディズニーランド等はC区分ですが、実際の開園日は各事業者が判断します。

皆さんのご承知の通り、宣言が解除されたからといって全てが元通りになるわけではありません。国が示した新しい生活様式を含め、今後も新型コロナウイルスの感染を警戒しながらの日常生活・社会経済活動となります。
大事なことは「なぜそうしなければならないのか」という行動の裏側にある科学的理由を一人ひとりが理解し、状況に応じて適切に行動することが重要です。

社会経済活動の再開に伴い、感染経路不明の感染者数がどのように推移していくのか、千葉市として見極めながら、適宜注意喚起していきます。既に基準で示したように、病床の利用状況がある一定のレベルを超えれば、再び様々な行動制約をお願いすることもあります。県も同じように指標を作り、公表していますので、県と連携して対応していきます。
そうならないよう、ともに継続可能な行動変容を続けていきましょう。

千葉県については宣言延長前に私が申し上げた2週間程度の延長(20日)で国の基準は達成していました。東京都との関係で25日まで解除が伸びたわけですが、東京都に殆ど通勤しておらず感染者も長く出ていない南房総や県東も同様に巻き込まれました。
今後に向けて通勤比率など東京都と関係の多い県内エリアとそうではないエリアで制限を分けることを考えておいた方が良いでしょう。もちろん、エリアを超えて人が来るような業種は別です。
休業要請を出す側はできる限り安全サイドで広く網をかけたいでしょうが、それに伴う経済面や生活面で市民・県民が受けるダメージが大きい以上、合理的な網のかけ方が必要です。

日本の感染状況は諸外国と比べどうか

千葉市の感染者は5月25日時点で107名、日本全体では5月24日時点で16,550名、死亡者数820名。
PCR検査数が少ないという批判がありますが、死亡者数はどの程度感染が拡大したか、感染者に医療が適切に提供されたかを見る上で重要なので、この死亡者数で比較すると以下の通りとなります。

・ドイツ:8,367
・イギリス:36,793
・フランス:28,367
・イタリア:32,785
・アメリカ:98,024
・カナダ:6,424
・中国:4,634
・韓国:267
・台湾:7
・マレーシア:115
・日本:820

欧米と比べ、アジアの死亡者数が少ないことが分かります。アジアは免疫力の高い若年層が多いこと、SARSを経験したことによる公衆衛生意識の高さなど、様々な要因が考えられ、今後研究がなされるものと思います。靴を脱ぐ習慣の話が出ますが、靴を脱ぐ習慣がある程度根付いているオランダ・北欧でも死亡者は多いので違うのかなと感じます。

日本は欧米に比べるとはるかに死亡者は少ないものの、アジアの中では人口当たりの死者数が多い国となっています。
国民の公衆衛生意識は高いものの、SARSの影響をまともに受けなかった分、対策が不十分だったかもしれない、しかし高齢化率がアジアでも突出して高いことを考慮すると、高いとも言い切れない、といったところでしょうか。

参考:『日本の新型コロナ対策は成功したと言えるのか─日本の死亡者数はアジアで2番目に多い』(菅谷憲夫)
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14724

今後、行政として意識していく分野について

今後は再度の感染拡大に注意しながら、①この間の自粛によって失われたものをどう取り戻していくか、②この機会に社会としてどう前進・改善していくのか、の2点に重点的に取り組んでいくこととなります。

経営が苦しくなった市内事業者に対して、政府の持続化給付金・雇用調整助成金、千葉県中小企業再建支援金、千葉市のテナント支援協力金などの各種施策はしっかりと届いているのかが重要です。千葉市は専用相談窓口も用意し、支援していますので、こうした徹底したサポートを今後も続けていきます。

感染が収まるにつれて、この間ダメージを受けた業界を支援するため、市の施策を適切なタイミングで投入していきます。既に飲食店に対してデリバリー支援、宿泊産業をテレワーク推進という形で支援してきましたが、6月議会に提出する補正予算案には理美容店への支援策を盛り込む予定です。
今後は観光、文化も含めて幅広い業種に効果的な支援策を検討し、感染予防上適切なタイミングを見極めて実施していきます。

これを可能としたのは地道に積み上げてきた財政調整基金です。
私が就任した2009年には財政調整基金は枯渇しており、政令市最悪の財政状況となっていました。この間、市民・議会のご理解、職員の奮闘で財政再建を成し遂げ、負債を返済しながらも一定額を財政調整基金に積み上げています。国の地方創生臨時交付金に加えて、この財政調整基金を活用しながら今後も機動的に支援策を展開していきます。

子どもたちの心と学びを取り戻す。夏対策も

子どもたちの心と学びを取り戻すことも重要です。
千葉市はこの長い休校期間中、ドリルパークなどのオンラインでの学習、千葉テレビを活用してのテレビ授業、登校日などを活用したプリント学習など、あらゆる機会を活用して学びを途絶えさせないよう取り組んできました。今後も文科省のGIGAスクール構想などにも対応しながら、学校のICT化を進めていきます。

しかしながら、私が以前申し上げたようにオンライン教育にはメリットと限界があります。子ども達の非認知能力を高める上で集団生活は欠かせません。
学校という存在が、友達というものが、子どもたちの心にとってどれほど重要か、いまさらながら深く感じた人たちも多いのではないでしょうか。

確かに今まで通りの学校生活や学校行事はできないかもしれません。しかし、私は教育界、そして教育界を支援する私たちが、学校でしかできないことを深く理解した今事案を通して、教育を、学校をさらに進化させることができると信じていますし、そうすることが子どもたちに対する大人の責務であると強く認識しています。
教職員の皆さまはこの間、本当に悪戦苦闘の連続だったかと思いますが、私たち千葉市は今まで以上にさらに強く教育環境・教職員を支援していきます。

千葉市の市立小中学校・市立高校は昨日より任意での分散登校を開始しており、慎重に段階を踏んで6月8日から通常授業を行っていきます。
学びの遅れを取り戻すため、夏休みが全国的に短縮されます。千葉市では夏の期間中も学校が稼働することを考え、給食調理室・学校体育館用にスポットクーラーを全校に配置する予定です。

既に千葉市は小学校全校、中学校の大部分の普通教室へのエアコン整備が完了しており、残る一部の中学校も5月末をもって全て完了します。給食調理室は今年度より徐々にエアコン整備を推進することとしていましたが、今夏に間に合わないので少しでも調理員の健康を守るべくスポットクーラーを導入し、調理時間以外は体育館での体育の授業に活用します(大型扇風機は既に全校配置済み)。
今年だけでなく来年以降も使用できるほか、昨年の台風15号のように暑い時期に災害が起きた際も避難所に活用することが可能です。昨年の台風災害を受けてモデル的に調達したことがここで生きてきました。

ちばしチェンジ宣言に基づく行政改革、市内の生産性向上

②については既に『ちばしチェンジ宣言』という形で、新型コロナウイルスを契機に「来なくていい、待たなくていい市役所」等の実現に向けて短期的には、郵送・オンラインでの手続き拡大、窓口の混雑状況のYoutube配信などを実施してきました。
今後は更なるオンライン手続きの実現に向けた本格的なシステム整備、学校教育のICT化などに取り組んでいきます。マイナンバーカードに含まれる電子認証が重要なカギとなりますので、この機会にぜひ取得をご検討下さい。

この難局を乗り越え、私たちの社会全体の生産性を大幅に向上させていきましょう。