[2020年6月27日]高市総務大臣、岸田政調会長、公明党に対して特別定額給付金に関する要請活動

6月26日、指定都市市長会を代表して、特別定額給付金に関する政府・与党への要請活動を行いました。
要望内容は以下の通りです。

現場となる市区町村の意見は考慮されることなく制度設計が行われたため、特にオンライン申請については、データ確認等の膨大な作業が発生し、人口規模の大きい指定都市において過大な事務作業を強いられ、住民への迅速な給付に支障が出ている。
今回の感染症の流行に限らず、地震・台風等の自然災害など、今後も緊急的な事案の発生が予想される我が国においては、新たな給付金の支給も考えられることから、今回の教訓を踏まえ、将来の緊急的事案の発生に対し、平時から十分な準備を行う必要性に鑑み、以下の点について緊急に要請する。

1 効率的なオンライン申請システムの構築の検討

オンライン申請受付後の事務処理に関する想定が不十分なまま制度が開始されたため、重複申請や世帯情報等の入力誤りが多発し、その確認や補正作業が大量に発生することとなった。
そのため、本人認証(ログイン)機能を設けることにより重複申請を排除するとともに、申請内容の不整合などを許容しない仕組みや、申請状況(受付済、審査中、差し戻し、審査完了など)について確認できる機能を有する効率的なシステムの構築を検討すること。

2 一元的な給付事務の仕組みの構築の検討

今回の特別定額給付金事業では、市区町村ごとにシステム改修やコールセンターの設置をする等、費用・事務作業の面において非効率的な行政運営がなされている。
人口規模の大きい指定都市においては、迅速かつ正確な給付を実現するため、実務上、受付後のステータス管理や給付額の算出等の処理を行う統合型のシステムを構築する必要がある。しかしながら、全く同じ事務を行うためのシステム構築を個別に行い給付事務に対応させることにより、重複した過大な負担が発生している。

全国の市区町村が共通の事務処理を行う今回のような給付金事業については、国において、あらかじめシステムを構築し、給付金事業が発生した際に、各自治体から必要な情報を集約し、一元的に給付事務を行うことにより、事務の効率化を図り、全国で、迅速かつ同時期に、不公平感なく給付する仕組みとすることが重要である。
特にコールセンターについては、問い合わせに対する回答が基本的に異ならないにもかかわらず、市区町村ごとに設置しており、行政運営上、非効率である。国において給付事務を一元的に行うことにより、コールセンターの集約につながるほか、共通ダイヤルの設定により、住民の利便性向上に資することになる。
今後、同様の給付金事業を実施する場合の行政事務の効率化と住民の利便性の向上を図るため、国による一元的な給付事務の仕組みの構築を検討すること。

3 特別定額給付金事業の総括と地方自治体との対話の機会創設

今後の同様の給付金事業に活かすため、まずは早急に今回の特別定額給付金事業について総括を行い、今後の制度設計やシステム構築等に向けて、現場となった市区町村の意見を反映させられるよう対話の機会を設けること。

まず午前に自民党の岸田政調会長に対して、浜松市の鈴木康友市長とともに要請を行いました。
岸田政調会長からは「給付金について市区町村に多大な負荷をかけていることを重く受け止めている。要請も参考に、党として政府に対して提言していく」との発言を頂きました。
他にも行政のデジタル化に向けた業務の標準化の必要性など、行政事務の改善について意見交換しました。自民党の政調会長レベルから業務の標準化の話が出てくるのは本当に隔世の感があります。

私が市長に就任した11年前はシステムの統一化の必要性は叫ばれていましたが、なぜ統一化ができないのか、その背景に業務の標準化ができていないこと、まずは国全体として業務の標準化を加速化させることの必要性はなかなか政治レベルでは理解されませんでした。
指定都市市長会では千葉市がICT担当となり、この間、業務の標準化の必要性を国に対して様々な機会を設けて訴えてきました。私が交流させて頂いている自民党青年局長の小林史明衆院議員(岸田政調会長への要請の調整もして頂きました)も総務省大臣政務官の時などにこの点を強く主張され、様々な方々が取り組んできた結果、今や政府の様々な提言の中に「業務の標準化」が盛り込まれています。ここまで来れば確実に我が国はシステムの効率化やデジタル化が図られると期待しています。

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午後は高市総務大臣に相模原市の本村市長とともに要請を行いました。
高市大臣からはオンライン申請を導入するに至った経緯、自身も親の相続等で苦労した経験から行政の効率化・デジタル化が重要と認識している等の発言を頂きました。

ただ、2の一元的な給付事務の仕組みの中で「国で一元化するのは認められていないんですよ」という発言があったことが気になります。
おそらくマイナンバーに関する最高裁判決を意識して、「一元的に管理」することは認められていない、という趣旨の発言と理解していますが、私たちの提案は既に各自治体が4/27付けの住基データをそれぞれ別々の事業者に委託し、処理しているものを、一元的な事業者に委託し、統一的に作業させるものですから、最高裁判決に何ら抵触するものではありません。

あらかじめ各自治体のある時点における住基データを入れるための箱を用意しておき、普段は空。こうした全国一律の給付金等の事務が発生した際に、ある時点における住基データをその箱に入れて一元的に給付事務を処理、終了後は速やかに削除することは何ら問題ありません。
こちらも総務省から来ているCIO補佐監も入れて、各指定都市の意見を集約したものであり、今この瞬間可能な提案内容なのですが、なぜ総務大臣が事実と異なる解釈に基づき、否定的な見解を示されたのかが理解できません。

時間もなく、誤解を解く説明をする時間が無かったので、今後総務省の事務方に、大臣に対して一体どのような事前レクをしたのか、しっかりと確認したいと思います。
私はICT業界出身であり、個人情報保護法にも業務として関り、マイナンバーに関する判決や整備経緯も把握している人間ですが、殆どの政治家はこれら全容を個人的に理解するのは難しいと思われますし、それを政治家に求めるのは少し酷な気もします。
総務省の事務方のこの件に関する意思がどのようなものか、それによっては今後も同じようなことが繰り返されるおそれがあると感じました。

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その後、公明党の新型コロナウイルス感染症対策本部事務局長の高木衆院議員、国重衆院議員、地元の富田衆院議員に要請を行いました。
公明党の方々は非常に勉強熱心な方が多いので、要請内容はもとより、行政のデジタル化等についてもかなり突っ込んだ意見交換ができました。

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なお、給付金の支給状況ですが、オンライン申請分は不備のないものは全て審査が終わり、金融機関の審査を経て7/3に振込処理が行われます。
また、郵送分を含めた、審査済の振込予定日と件数は以下の通りです。

~6/26:約37,000件(振込済)
6/29:約15,000
7/3:約40,000
7/6:約20,000
7/7:約18,000
7/9:約30,000

7/9時点で給付率は申請件数(約40万)に対し約4割となります。
体制が整い、処理能力が上がってきています。7/13以降は毎週3回振込、各3万回前後となる見込みです。皆さまにはお待たせして申し訳ありません。