[2020年5月8日] 宣言延長を受けての対応、特別定額給付金、幕張メッセ病院化構想について

5月7日の感染状況

5月7日、新たに新型コロナウイルスの感染が確認された患者は1名でした。
95例目は50代男性で、市内勤務の会社員の方です。感染経路は調査中で、感染可能期間に数日出勤しています(車通勤)。軽症です。同居家族に症状はありません。今後も職場同僚など濃厚接触者の把握を始めとする積極的疫学調査を進めます。
累計患者数95名(入院中33名、退院56名、死亡4名、ホテル療養終了2名)。着実に退院される方が増えています。
千葉医療圏に関しては病床に一定の余裕がありますが、今後も緊張感を緩めず、感染者の低減傾向の維持と病床確保に努めていく必要があります。
ここ1週間の感染者は0,0,2,0,0,0,1という状況。千葉県全体では5人で12日連続で一桁です。
この間、市原市民の方でクラスター化した医療機関で勤務する方、千葉市民ですが東京の保健所の検査で陽性が判明した方がいらっしゃいます。
感染症の患者発表は検査を行った保健所行政が行うルールとなっています。例えば都民の方で千葉市の実家に帰省した際に検査し、陽性となった方は千葉市で発表しています。
参考までにGW期間中も含めた1週間のPCR検査件数を紹介します。
4月29日:66件
4月30日:10件
5月1日:58件
5月2日:81件
5月3日:55件
5月4日:31件
5月5日:30件
5月6日:38件
GW期間中も含めて安定して検査ができています。ご対応頂いた医師の皆さま、保健所職員に心から感謝申し上げます。
ドライブスルー方式の実施など工夫を重ねてきていますが、今後も検査体制の充実に向けて検討を進めていきます。

緊急事態宣言延長を受けての対応

緊急事態宣言の延長を受けて各種対応を協議し、関係者に順次周知・広報していきます。基本的には宣言を受けての対応を5月末まで延長することとなります。
学校も5月末まで休校ですし、登園自粛要請なども同様です。各学校から保護者には順次一斉メール等で連絡が行きます。保育所・子どもルーム等の自粛要請についてはこちらをご覧ください。(https://www.city.chiba.jp/hokenfukushi/iryoeisei/seisaku/covid-19/jishuku.html
その上で14、15日あたりまでの感染状況や国・県の対応を総合的に勘案して、18日以降の部分的な緩和について検討・決定します。学校については仮に実施するとすれば学級を分散しての登校日を設定すること等が考えられますが、決定・周知から教育現場や保護者が対応するまでに一定の期間を設けた上での実施となるでしょう。
子ども達に友達と触れ合う時間、学ぶ時間を取り戻してあげるためにも私たち大人の責任ある行動が求められます。
病床に一定の余裕がある状況を維持できていること(ここが一番重要)、第2波のような感染拡大の兆候が存在しないことなどが大前提です。緩和したとしても部分的であり、それも感染予防対策を十分に行った上で、となります。緩和が気の緩みになり、必要な行動制約が守られない状況とならないよう注意する必要があります。
既に県の休業要請対象業種にも関わらず、5月7日から営業を再開した店舗を複数確認しています。感染リスクの高い業種の方々には申し訳なく思いますが、これら業種が警戒を緩めて良い段階ではありません。県に対して情報提供し、強い休業要請・公表・指示等を行うよう求めていきます。
昨日は北海道の鈴木知事にも電話で相談し、第2波が来ているとされる北海道の状況を伺い、その知見から首都圏の第2波を防ぐ・対応するために今から意識しておくべき点について確認させてもらいました。
長い戦いとなります。社会経済をできる限り維持した上で医療現場の疲弊を防ぐ、ポイントを押さえた施策展開をするため、先を読んでの準備、決断を行っていきます。

特別定額給付金、郵送は5月下旬から発送

10万円の特別定額給付金について郵送分も含めたスケジュールを昨日発表しました。
オンライン申請は以前ご紹介したとおり5月15日から開始し、5月下旬より順次振り込みします。
郵送については5月下旬より順次発送し、6月中旬より順次振り込みます。申請書の受理後、最短で2週間程度を見込んでいます。
5月11日よりコールセンターを設置して対応します。詳細はこちらをご覧ください。https://www.city.chiba.jp/shimin/shimin/kusei/covid-19_tokutei.html#shien
お待たせして申し訳ありませんが、5月中の発送に向けて民間事業者の方々には大変なご労苦をおかけしました。GW返上で頑張ってくれた職員も含めて感謝します。
なお、給付金に乗じて詐欺行為の発生が危惧されます。行政がATM操作をお願いしたり、手数料の振り込みを求めたり、メールで申請手続きを求めることはありません。
市も案内とともに注意喚起しますが、皆さまも、ご自身はもとより、ご両親など周りの方にも注意喚起して頂ければ幸いです。

相談窓口等の状況、県の追加支援策が発表

事業者向け臨時相談窓口は5月1日時点で電話相談が486件、電子申請が104件、面談9件、セーフティネット申請が356件(5/4時点)と多くの相談が寄せられています。
中央コミュニティセンターに設置した窓口を昨日は視察しました。職員に加えて社労士会・中小企業診断士協会にもご協力頂き、様々な相談に対応しています。
どんな支援が受けられるか分からないという事業主にとっては複雑な書面を読む前にまず電話頂き、事情を伺った上で対象となる支援策の概要を説明する窓口は必要だと感じます。
中には「ネットが使えないから」という事業主も少なくありません。
国は複雑・多岐とは言え、Web上にかなり詳細な情報を掲載していますが、その情報にアクセスできない人がいます。また原則オンライン申請のため、ネットが使えなければ申請ができません。国は後ほど窓口でも対応することとしていますが、こうした部分を市としてもフォローしていきたいと考えています。
皆さまも周りの事業主や、普段利用しているお店などで支援策にアクセスできていない方がいましたら、相談窓口をご案内下さい。
新型コロナウイルス感染症に対する事業者向け臨時相談窓口
https://www.city.chiba.jp/keizainosei/keizai/kikaku/covid19-jigyousya_madoguchi.html
同じく中央CCには中小企業の資金繰りを支援するための融資制度を受けるために必要なセーフティ保証の認定窓口を設置してています。
毎日多くの事業主が申請に来ており、基本は即日認定しています。各種支援制度が必要とする方に届くよう、今後も申請等をサポートしていきます。
市の独自支援策の利用状況について。
〇テナント支援協力金:127件の申請
〇飲食店のデリバリー対応支援
  ・ポイント付与対象注文:6,010件(出前館のみ。4/30時点)
  ・飲食店の登録料等の支援:申請2件
※テレワーク利用促進は今後集計
森田知事が記者会見で追加施策について記者から尋ねられた際に「財政が大変苦しい」との理由から消極的姿勢を示したことを一昨日ご紹介しましたが、昨日、県の独自支援策に10万円を上乗せする追加施策を発表しました。財源は国の交付金とのこと。
国の持続化給付金と合わせて対象事業主の方が制度を活用できるよう支援していきます。

労働者・市民向けの相談窓口も設置予定

この間、様々な相談が私や市にも寄せられていますが、雇用調整助成金の対象になるにも関わらず雇用主が対応していない結果、解雇や減給となってしまっている方など、不当な扱いを受けている方々が散見されます。
新型コロナウイルス感染症拡大の期間中は登園自粛等で登園する園児が少なくなっていても、行政からは在籍児分の公費が基本は支出されるにも関わらず、所属保育士の給料を不当に減給する民間保育園などが存在することも明らかになっています。
本来は労働局など各窓口に相談頂き、泣き寝入りして頂きたくないのですが、どこに相談すれば良いのか分からない方も少なくありません。これらも含めて市民向けの相談窓口を設置できないか検討しています。

幕張メッセ臨時病院構想に対する千葉市の要望

先月末に県が打ち出した臨時病院化構想について千葉市として県に要望書を提出しましたので、ご紹介します。

幕張メッセにおける臨時医療施設開設にあたっての医療体制等に関する要望
新型コロナウイルス感染症患者の増加に伴い、病床確保等医療体制の整備が急務となっております。このような中で、千葉県におかれましては、本市内の幕張メッセに大規模な臨時医療施設を整備する計画であるとうかがっています。
県内における病床不足解消に向けた取り組みが必要であることについては、御賛同申し上げるところでありますが、一方で当該施設の所在市として、開設・運営にあたっては、本市及び周辺の医療提供体制等へ支障が生じることも懸念されるところであります。つきましては下記について、ご対応いただきますよう要望いたします。
1 幕張メッセに臨時医療施設を整備するにあたり、医療従事者等を確保する際には、本市内における地域医療に影響が生じることのないよう確保策を講じること。現在、本市の新型コロナウイルス感染症患者の入院治療等は、感染症指定医療機関のほか、一般医療機関の協力の下、限られた資源の中で、実施しており、市内の医療体制の維持に支障が生じかねない対応は行わないこと。
2 臨時医療施設を整備する前段として、新型コロナウイルス感染症の医療提供体制構築のため、医療圏ごとに既存病床の効率的・効果的な活用を進め、県全体として医療を支える体制づくりを推進すること。
3 幕張メッセの臨時医療施設からの、患者が重症化した場合の転院先の確保、軽快した患者のホテルでの療養施設への受け入れについては、千葉医療圏のみでの対応とせず、県全体での対応とすること。
4 医療施設開設にあたっての、保健所による施設基準に基づく審査等については、相当の業務量になると見込まれることから、千葉県による審査など県全体として対応すること。
5 本市に広範囲から多くの患者を受け入れる場合、その全ての患者に対して、千葉市保健所が病状の記録、報告等の対応を担うことは不可能であり、また、本市の消防のみで患者の搬送を担うことは、救急業務に支障が生じかねないことから、県全体として対応すること。

県は新型コロナウイルスの中等症~軽症患者を受け入れる臨時病院を開設する構想を4月下旬に補正予算とともに打ち出しました。想定されているのは幕張メッセとのこと。
幕張メッセが所在し、(株)幕張メッセに出資している千葉市に対して説明が無く、かつ市立青葉病院など県内で新型コロナウイルス患者を受け入れている医療機関などにも事前に説明・相談が無い中で突然出てきた構想に多くの関係者が戸惑いを感じました。
30億円という巨額の経費を予算計上し、多くの行政・医療関係者に影響を与える施策である以上、本来は十分な協議・調整があってしかるべきです。
ただし、事前に協議・調整が無かったことは本質的に問題ではありません。緊急時は関係者に十分な説明ができないことはあり得ることですし、中身が十分に詰められた内容であれば経緯がどうあれ評価・賛同すべきです。
新型コロナウイルス対策の権限は特措法上、県にありますし、平時でも医療政策は県の所管事務ですから、新型コロナウイルスに対応するための病床確保に対して千葉市としては積極的に協力するのは当然です。市としても独自に市内医療機関が新型コロナウイルス患者のために病床を確保した場合に支援するため4800万円の予算を計上しています。
問題はこの構想が医師を始めとする医療スタッフ確保の算段がないまま発信されたこと、ゼロから病院を立ち上げるために必要となる膨大な手続き・準備が十分に想定された県の体制には思えないこと、爆発的感染を見据えた臨時病院の前に実施すべきステップが飛ばされているように見えること、です。
報道では4月末の臨時議会で可決後、速やかに設営に入り、5月中に一部稼働開始となっています。
このスケジュール感は後述する通り相当に無理があるのではないかと考えますが、仮にこのスケジュールで設営・稼働するのであれば当然詰めておくべき医師などの医療スタッフ確保にめどがついていない状況と聞きます。また、病院は医師・看護師などの医療スタッフだけでなく、調達も含めて各種事務局が必要となります。そちらもめどが立っていないとのこと。
ゼロから病院を立ち上げるのは簡単なことではありません。通常、病院を新設する場合はそのノウハウを有する人間を多数集め、数年間かけて準備し、各種認可を受ける必要があります。
特措法等に基づき、本来の認可プロセスの一部を省略できたとしても、命を預かる重要な施設として省略してはならない準備・整理だけでも膨大な事務となります。それを短期間でこなすには県職員だけでは難しく、病院立ち上げに詳しい人や厚生労働省など国も巻き込んだ50~100人レベルの組織を立ち上げなければ、短期間に病院として稼働させることは難しいのではないでしょうか。
ゼロから病院を立ち上げる難易度を考えれば、その前に病床が不足している東葛北部・南部医療圏において、県がリーダーシップを発揮し、病棟まるごとを含めて抜本的に病床を確保し、集約化するなど、困難ではあれど臨時病院よりは現実的なステップに対して全力を注ぎ、その先のステージである臨時病院の研究・検討を着実に進めることが妥当です。
イギリスで同様の趣旨でコンベンションセンターを活用してナイチンゲール病院が臨時病院として作られましたが、利用者が少なく既に閉鎖が決まっています。
感染が抑えられ患者数が想定より少なかったこともありますが、様々な方に聞くと臨時病院は使い勝手が悪く、臨時病院に転院させる病院が少なかったのこと。実際に国策として整備までこぎつけた病院でもこのような状況ですので、県は慎重に検討を進めて欲しいと思います。
構想自体に対して上記問題点を指摘しましたが、地元市としてより現実的な課題が要望書の3,4,5に記載した内容となります。
まず3について。
幕張メッセ臨時病院が仮に稼働した場合、千葉県全体の中等症~軽症患者が幕張メッセに集約されることになります。搬送時は中等症~軽症であったとしてもその後に重症化することも十分考えられ、その場合、千葉医療圏の病院に多数転院してくることが懸念されます。本来は千葉医療圏以外で受け止めるべき患者を千葉医療圏の病院が引き受けることになれば千葉医療圏の医療崩壊に繋がりかねません。症状回復後にホテル療養する場合も同様です。
事前の取り決めで県全体で引き受けるとしていても、例えば患者が東葛北部・南部医療圏の患者だった場合、重症化した状態で東葛北部まで搬送できるか、さらに言えば東葛北部・南部医療圏の病院が断った場合どうするか、医療現場の人は医療圏外だったとしても命の危険があれば当然受け止めます。結果的には東葛北部・南部医療圏に比べて体制が整っている千葉医療圏が本来以上に重症患者を受け止めることになるでしょう。市民の医療に責任を持つ市長として安易に容認できるものではありません。
4について。
病院をゼロから立ち上げるには膨大な事務が必要と述べましたが、その審査は保健所が行うこととなっており、幕張メッセが所在する千葉市保健所が行うことになります。
ただでさえ保健所は業務が集中し、市の各部署から人員を引き抜いて増員し続けている状況です。県の施策に対して千葉市保健所が膨大な審査等を行うことは耐えられず、県が責任をもって県保健所から人を引き抜く等をして審査業務を行って頂く必要があります。
5について。
広範囲から多くの患者を千葉市に受け入れる場合、保健所として記録・報告等をする必要がありますが、これも千葉市保健所が引き受けるのではなく県保健所が対応して頂く必要があります。
これら患者の搬送を千葉市消防のみで行うことは千葉市の救急業務に支障が出ますので、こちらも県全体として対応する必要があります。
現在は感染者が低減傾向にあり、病床も少しずつ落ち着きつつありますが、今後第2波が押し寄せてくることも十分に考えられます。楽観視せず、最悪期を想定した大規模な病床確保の構想を持ち、検討・準備をすることは十分に理解します。
この案自体は現在実現性に大いに疑義がありますが、この構想に至る関係者の危機感、課題認識、チャレンジ精神については敬意を表するものです。
今を第1ステージとすれば、臨時病院が必要になる状態はステージ3です。ステージ3の研究を進めながら、第2ステージに対応した抜本的な病床確保について、県がビジョンと具体策をもって実現して頂くことを切に願います。
県に対して少し厳しい指摘になってしまいますが、私たちは県のこれまでの対応について概ね信頼をしています。
休業要請が都や他県と比べて遅れるなど政治決断という意味でスピード感に欠けた時もありましたが、健康福祉部を中心に実務レベルでは対策を積み重ねて頂いています。県自身の指針をしっかりと示して先手先手の対応を取って頂くことを今後も期待していますし、私たちも県と連携を深めていきたいと考えています。